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藤原 徹 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授

社会で活躍するOB

藤原 徹 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授

東京大学教授にインタビューしました

  • 藤原 徹(高35期)
  • 聞き手:広報委員長 坂本 佳世子(高34期)

専門の研究について

ー まず初めに、東大でどのような研究をされているのかをお聞かせ下さい。

植物の栄養の吸収に関する研究をやっています。 植物 は土から栄養を吸収します。 擬人的になりますが人間と同じよ うに足りないと一生懸命吸おうとするし、お腹がいっぱいに なると吸わなくていいという反応をするのですね。 実は植物っ て、 あげた肥料の半分も吸わなくて無駄になり、残った肥料 は地下水に流れて行ったり川や海に流れて、これが増えすぎ ると赤潮になったりして環境に悪影響を及ぼします。肥料もリ ン酸、カリなど資源なので、 私たちは植物が栄養を吸う仕組 みを強くして、 効率化を図るという研究をしています。

ー 環境保護、 資源の保護にもつながる社会的な意義を持つ研究ですね。

 

天王寺高校で培ったもの 「勝つは体力」

ー  天高で培ったもの、学びがどのように今の研究に影響していますか? ちなみに影響を受けた言葉とかはございますか?

「質実剛健」 あと、 私が好きな言葉は「勝つは体力」です。 なんかこう学問って言うと勉強っていう感じがするけど、 体力ですよ。 結局。 集中力をどれだけ持続できるとかが大切。

ー  学問も体力が必要っていうことですよね。 クラブ活動もされていましたもんね。天高は、 けっこうクラブが強いイメージがありますよね。

なんか当時は少なくとも、そんな「勉強せい、勉強せい」 という感じじゃなかったと思いますよ。

天高時代の思い出と言えば、私はラグビーについて行くのがすごく大変で。 今は、あんまり激しいことやり過ぎないのかもしれませんが、 当時は、先輩に、ランパス20本とか走らされて。走らされたって言ってる自体が、もう間違ってるんだけど、「いつ終わるんやろな」と思いながらやったのは覚えてますね。 でも今にして思うと、ああいうしんどいことをやると、多少のことには、平気になるんですね。

ー  多少の辛いこととか。

そう、 辛いこととかは平気になるし。 ラグビーって当時 は、お医者さんに行かなくて治るものは怪我ではないという 感じで、 「捻挫? 捻挫くらい、あんた歩けるんやったら走れるよ」って言われましたよね。 昔はね。

今からしたらすごい理不尽な世界で。そういうのが植え付けられるとですね、研究室の学生さんが「今日はちょっと調子悪いので行けません」 とか言ってくると、「大事にしぃや」って言うんだけど、 電話かけれるんやったら、 学校に来れるんちゃうかと本音では思ってしまう。 「やる気があったらやるやろ」みたいに思ってしまうのがいけないところ です。(笑)

ー  いえ、私も昔人間なので共感するところがありますよ。

天高愛について

ー  次に、 天高の先生も生徒も、天高愛がすごいと感じるのですが、そのあたりはいかがでしょうか?

天高は、別にね、こう勉強できないとあかんっていう雰囲気はないんじゃないですかね。「できへんけどこれで行くぜ」みたいな。「お前はそうか」 みたいな雰囲気。だからけっこうみんな居場所がちゃんとあるようにできてるのは、よかったですね。

ー お互いを認め合う、居場所のある環境が、天高愛にも 結びついているのかもしれませんね。

 

<藤原 徹(ふじわら・とおる)プロフィール>

経歴

  • 1987年3月 東京大学農学部農芸化学科卒業
  • 1989年3月 東京大学大学院農学系研究科修士課程修了
  • 1992年3月 東京大学大学院農学系研究科博士課程修了
  • 1989年6月 ワシントン大学生物学部に留学
  • 1992年4月 東京大学農学部助手
  • 1992年11月 カリフォルニア大学デービス校に留学
  • 1994年12月 コーネル大学に留学
  • 2003年4月 東京大学生物生産工学研究センター助教授
  • 2007年4月 東京大学生物生産工学研究センター 准教授
  • 2010年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 (植物栄養・肥料学研究室)

※本記事は、桃陰だより第40号「東京大学教授にインタビューしました」 (令和5年10月1日発行)に掲載された内容を元に再構成しています。

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